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Vol.40 理想的な天井の高さとは?入居後に後悔しないために【2020年版】


戸建住宅を建てたいと考える方の中には「天井の高さで迷っている」という方もいるかもしれません。天井の高さによって、部屋の印象が変わりますし、住み心地も変わってきます。

たとえば天井が高い部屋は開放感がありますが、実はデメリットも少なくありませんし、部屋の面積によっては高い方が良いとも限りません。自身にとって理想的な天井の高さを知るために、天井の高さが与える影響について紹介します。

 

天井高の下限は2100㎜(210㎝)

No040_img01_600x400「高い天井は部屋を広く感じさせ、よりくつろげる環境になる」と言われますが、これは全ての状況に当てはまるわけではありません。建物を設計する際、建築基準法で規定された事項を遵守せねばなりません。

たとえば天井高は、建築基準法で基準が決められており、居室の天井は「2100㎜(210㎝)以上」にする必要があります。ただし、これは居室の規定であり、トイレや浴室、廊下、納戸の天井高はこの限りではありません。


 

マンションはやや低めの傾向

マンションは、都市計画法における用途地域の指定によって、建物の高さが制限されることがあります。かつては、同じ高さで部屋数を増やすため、天井高を低くする傾向がありました。当時の平均は2400㎜(240㎝)、中には2300㎜(230㎝)というマンションもありました。ただし低い天井は圧迫感があるため、最近は快適性を重視して2500㎜(250㎝)とするマンションも増えています。

 

おすすめの天井高は「2400㎜(240㎝)」

戸建なら、天井高は「2400㎜(240㎝)」を基本として考えるのが良いでしょう。その根拠は生活スタイルの変化にあります。日本に洋室が浸透する以前の住宅、かつて和室が主流だった頃は、床にじかに座る(床座)生活様式だったので、天井高はやや低めの2200㎜(220㎝)とするのが一般的でした。この高さは現在でも和室に使われることが多いため、和屋に入ったときに若干天井が低いと感じる方もいるでしょう。しかし、最近では洋室で椅子に座る(椅子座)人も増え、平均身長も男女ともに高くなっているので、やや高めに設計されています。

輸入住宅・モデルハウスなどでは2700~3000㎜(270~300㎝)という高さをセールスポイントにしているところもあるようですが、極端に高い、あるいは低いと、国内で一般的に流通している建材・構造材では対応できず、コストが割高になるケースも考えられます。費用面を考えると、やはりオーソドックスな2400㎜(240㎝)が妥当なのです。

もちろん、背の高い人にとっては2400㎜(240㎝)でも低く感じられることがあるかもしれません。モデルハウスなどで、事前に体感しておくと感じが掴みやすくなるでしょう。

 

高い天井のメリット・デメリット

たとえば吹き抜けを想像すればよいのですが、天井の高い部屋は、たしかに開放的で広々とした印象を受けます。だからといって、全ての部屋の天井を高くすれば良いというものでもありません。生活嗜好によっては天井は低めが良いという人もいます。天井が高いことのメリット・デメリットを踏まえ、部屋の性格に合わせて天井高を決めましょう。

 

メリット

・開放感が出て、広々とした印象になる。高級感を演出できる
・シャンデリアなど、高さを必要とする照明を設置できる
・窓を高い位置に取り付けることで採光性が高くなる

 

デメリット

・冷暖房の効果がでるまで時間がかかるため、光熱費がかかりやすい
・サッシやカーテンは、既製品が使えないこともある
・部屋が狭いと、かえって閉塞感が強まり、落ち着かない空間になることがある
・照明の蛍光灯や電球を変えたり、掃除をするのが難しくなる
・照明器具の選び方や取り付けが難しい

 
メリットだけにとらわれず、デメリットも考慮して、暮らしやすい空間にすることを忘れないようにすることが肝要です。

 

部屋によって天井の高さを変える

No040_img02_600x400部屋の用途によっては、天井をより高くしたり、逆に低くするのが効果的です。以下に部位ごとのポイントを紹介していきます。

 

家族みんなの暮らしの中心になるリビングは、のびのびとくつろげるよう、開放感を大切にしたい空間。8畳程度のリビングなら、2450~2500㎜(245㎝~250㎝)がおすすめ。取り付ける照明器具によっては、もっと高くても良いかもしれません。

 

寝室やキッチン、トイレのように狭い空間は、天井高をやや抑えた高さにするのがポイント。天井を高くすると、かえって落ち着かない空間になってしまうことがあります。2350~2400㎜(235㎝~240㎝)程度がベターです。

 

床(畳)のうえに直に座る和室も、低めの天井がおすすめです。2200㎜(220㎝)から、高くても2400㎜(240㎝)ぐらいに抑えるのが良いでしょう。先にご紹介したように、和室は床に座ることになるため、天井が高いと落着きを損ねたり、逆に狭い印象を受けてしまいます。従来の2200㎜(220㎝)から2400㎜(240㎝)の間で、住む人の身長などを踏まえて決めるようにしましょう。

 

家づくりでは、間取りや外観のデザインに目が行きがちですが、天井高も忘れてはならないポイントです。一度つくったら簡単に変えることはできない点なので、モデルハウスや見学会・オープンハウスで体験しながら、あなたにとってベストな天井高を判断しましょう。モデルハウスなどを実際に足を運び、体験されてみてはいかがでしょうか。

藤村祐介
監修藤村祐介:セイズ株式会社 住宅デザイン事業部 取締役
一級建築士、一級建築施工管理技士、インテリアプランナー。1981年生まれ、茨城県 出身。大学建築学科卒業後、東京、千葉、名古屋、大阪など首都圏を中心とした住宅設計に携わる。設計事務所、ディベロッパーを経て、2010年セイズ株式会社入社。2010〜2020で約600棟ほど狭小住宅のプランニングを行っている。

 

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