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ハウスメイキングラボ(住宅コラム)

Vol.74 蓄電池の補助金は?葛飾区・江戸川区・足立区と国や東京都の助成制度【2025年版】

電気代の高騰や大規模な自然災害の多発、省エネ意識の高まりなどを受け、近年は自宅に太陽光発電システムを導入する家庭が増えています。太陽光発電は、蓄電池があればメリットが2倍にも3倍にもなります。2025年は蓄電池設置への補助金制度も充実していることから、新築やリフォームで導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

本記事では、蓄電池を導入するメリットとともに、国や東京都、葛飾区、江戸川区、足立区の補助金制度をご紹介します。

 

家庭用蓄電池とは?

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家庭用蓄電池とは、電気を貯め、必要なときに給電できる一般家庭用の設備です。

 

家庭用蓄電池の種類

一口に「家庭用蓄電池」といっても、その種類はさまざまです。まず、電池の種類はリチウムイオン電池や、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、NAS電池などに分けられます。主流なのはエネルギー効率の高いリチウムイオン電池ですが、寿命の長い鉛電池を採用しているメーカーも見られます。

 

おすすめの蓄電池

家庭用蓄電池のなかでもおすすめなのが、太陽光発電システムやHEMSと連携できるタイプです。蓄電池は、電力会社から購入した電気も貯めることができますが、太陽光発電と併用することでさらに節電や災害時のライフライン供給に貢献してくれます。

 

一方、HEMSとは、ホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System)の略称です。住宅で使用している電気と発電している電気を調整して、効率的に電力エネルギーを活用することを目的としています。HEMSと連携した蓄電池は、蓄電の状況や使用電力などの確認、遠隔操作、制御などが可能です。

 

家庭用蓄電池の容量

家庭用蓄電池の電池容量もさまざまで、1〜15kW程度が一般的です。蓄電池の容量を選ぶときには、利用方法や目的、世帯数、太陽光発電量などから逆算して考えてみましょう。

 

環境省によれば、1世帯が1年に消費した電力は1年で4,175kWh(令和3年度 )。つまり、1日に平均10kWH以上、消費していることになります。ただし、エリアや季節、世帯数などによっても消費電力は変動します。オール電化かガスなどの他のエネルギーを併用するかによっても必要な電力は異なるため、家庭用蓄電池はメーカーや工務店に相談しながら選ぶことをおすすめします。

 

太陽光発電と家庭用蓄電地を導入するメリット

蓄電池は、太陽光発電システムとセットで導入することで、その価値や用途は一層広がります。

電気代が節約できる

近年は、あらゆるものの値段が上がっています。電気代高騰に伴う国による電気代補助金は25年5月に終了する見込みとなっており、電気代の値上がりが見込まれます。電気代は毎日使うものであり、節約ばかりを考えていると熱中症になってしまったり、ストレスが溜まってしまったりするおそれもあります。

 

太陽光発電と蓄電池を導入すれば、エネルギーを創ることができるとともに、電気代が安い夜間の時間に電気を貯め、昼間に利用することもできます。

 

電気の活用用途が増える

太陽光で発電した電気のうち、家庭で使用しなかった分は電力会社に売電できます。

 

蓄電池を設置している場合、太陽光発電によって発電した電気を電力会社に売電する場合「ダブル発電 」として計算されます。このため、通常太陽光発電の売電の価格は値引きされてしまいます。しかし、W発電と認められた場合、深夜の買電価格が安くなるのです。ですから、深夜の電気料金が安い時間帯の電気を蓄電池に蓄えておき、翌日の日中に活用することで、昼間太陽光発電で発電した電気をそのまま売電することができます。

蓄電池を設置し、ダブル発電の料金で買電をすることで、光熱費を抑えながら通常よりも売電収入が得られるため、おすすめです。

 

災害・停電に備えられる

「太陽光発電だけ」「蓄電池だけ」でも災害や停電に備えられますが、エネルギー創出の仕組みがなければ貯まっている電気しか使用できず、貯まっている電気がなければ災害直後に電気を使用することはできません。しかし、太陽光発電と蓄電池を併用すれば、災害後、すぐに電力を使用できるとともに、電力の復旧まで時間がかかってしまった場合もスマートフォンを充電したり、夜間に明かりをつけたりすることができます。

 

近年は、自然災害が多発・激甚化しています。大規模な地震や水害がいつ起こるともわからない状況のため「創エネ+蓄電」で住まいのレジリエンスを高めましょう。

 

【2025年】葛飾区・江戸川区・足立区の蓄電池の補助金

Family reading bedtime.ここからは、葛飾区・江戸川区・足立区が利用できる区・都・国が主体となって行っている蓄電池設置への補助金制度を紹介します。

①全国共通

■子育てグリーン住宅支援事業

エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯が、ZEHレベルなど高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や省エネ改修などに対する支援制度です。

ZEH水準住宅の新築は、子育て世帯および若者夫婦世帯が対象ですが、一部の住宅の新築や既存住宅のリフォームについてはすべての世帯が対象です。

  • 子育て世帯:2006年4月2日以降に出生した子を有する世帯。ただし、2025年3月末までに建築着工する場合は、2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯
  • 若者世帯:夫婦のいずれかが1984年4月2日以降に出生した世帯。ただし、2025年3月末までに建築着工する場合は、1983年4月2日以降出生とする

 

なお、子育てグリーン住宅支援事業では、ZEH水準の性能を有する住宅の新築・購入で最大40万円/戸が補助されます。太陽光発電や蓄電池を導入すれば、ZEHの実現も可能です。
※参考:「ZEH」とは?補助金・住宅ローン控除について【2025年版】

・対象製品
定置用リチウム蓄電池のうち、一般社団法人環境共創イニシアチブにおいて令和4年度以降、登録・公表されている蓄電池システム

ただし、以下3つのリフォーム工事のうち2つ以上のカテゴリを実施する場合に対象となります。

  1. 開口部の断熱改修
  2. 躯体の断熱改修
  3. エコ住宅設備の設置

蓄電池の導入は「3.エコ住宅設備の設置」に該当するため、別途、開口部か躯体の断熱改修を実施する必要があります。


・補助額

64,000円/戸

 

・期間

  • 契約期間:不問
    対象工事の着手期間:2024年11月22日以降に着手したもの
  • 交付申請期間:申請開始~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)
  • 交付申請の予約期間:申請開始~予算上限に達するまで(遅くとも2025年11月14日まで)

 

■DR家庭用蓄電池事業

2050年のカーボンニュートラル、2040年のエネルギーミックス達成に向け、再生可能エネルギーの導入・活用を後押しするための事業です。

 

・補助対象

以下の要件を満たす家庭用蓄電システムの機器代・工事費・据付費

  • 本事業の実施のために新規で導入される蓄電システムであること
  • SIIで事前に登録された機器であること
  • 各種法令等に準拠した設備であること
  • DRに対応可能な設備であること。
  • 需要側(民生住宅、店舗、事務所等)へ設置される設備であること
  • 蓄電システム購入価格と工事費の合計が、目標価格以下であること
    • 2024年度目標価格(設備費+工事費・据付費、税抜)13.5万円/kWh(蓄電容量)
  • 採用予定の蓄電システムのBMSのメーカー等について、過去5年間の実績を含め、国際的に受け入 れられた基準等に反していないこと及びその他の開発供給の適切性が確保されていることを確認できること

 

・補助額

  • 最大:1申請あたり60万円(基準額は1台あたり3.7万円/kWh)
  • 補助率:1/3以内
  • 蓄電システム評価による補助増額あり

 

・期間

  • 公募期間:2025年3月26日~2025年12月5日(予算上限に達し次第終了)

 

②東京都

庭における蓄電池導入促進事業

家庭における太陽光発電による電気の自家消費の増大と非常時のエネルギー自立性の向上を目的とし、東京都が都内の住宅に新規に設置された蓄電池システムにかかる機器費・工事費を対象とした事業です。

 

・対象製品

SIIに登録されている設備

登録製品:SII「蓄電システム登録済製品一覧」

 

・補助額

蓄電池パッケージ
(蓄電池システム)
蓄電容量:12万円/kWhが上限
※太陽光発電システムが設置済/同時設置、または再生可能エネルギー電力メニューに契約していること
●デマンドレスポンス実証(DR実証)に参加する場合、上記助成額に10万円の加算 ※購入金額を超える場合を除く
蓄電池ユニット増設 蓄電容量:8万円/kWhが上限
※太陽光発電システム設置済であること 
●デマンドレスポンス実証(DR実証)に参加する場合、上記助成額に10万円の加算 ※購入金額を超える場合を除く
エネルギーマネジメント機器及び
IoT関連機器
●デマンドレスポンス実証に参加(必須)
助成対象経費の1/2の額(最大10万円/戸)
リフォーム瑕疵保険等 7,000円/契約

 

・期間

  • 事前申込:2024年5月31日開始
    • 2025年5月30日開始
  • 交付申請兼実績報告
    • 蓄電池システム・蓄電ユニットの増設・リフォーム瑕疵保険等
      2025年6月30日から2029年3月30日(17時公社必着)まで
    • エネルギーマネジメント機器及びIoT関連機器
      2025年6月30日から2027年3月31日(17時公社必着)まで

 

③葛飾区

かつしかエコ助成金

葛飾区の「かつしかエコ助成金」では、葛飾区の住宅への蓄電池設置に対し、20万円を上限に助成対象経費の1/4を助成しています。太陽光発電システム併設の場合は、5万円が加算されます。その他、高断熱住宅などに対しても手厚く助成しています。

    個人住宅 集合住宅 事業所

太陽光発電システム

助成

8万円/kW 8万円/kW 8万円/kW

限度

40万円
※蓄電池併設の場合:5万円加算

40万円
※蓄電池併設の場合:5万円加算

80万円
※蓄電池併設の場合:5万円加算

エネファーム
(家庭用燃料電池)

助成 5万円/1台まで
限度
蓄電池 助成 助成対象経費の1/4 助成対象経費の1/4 助成対象経費の1/4
限度

20万円
※太陽光発電システム併設の場合:5万円加算

100万円
(10kWh未満:20万円)
※太陽光発電システム併設の場合:5万円加算

100万円
(10kWh未満:20万円)
※太陽光発電システム併設の場合:5万円加算

ビークルトゥ
ホームシステム(V2H)

助成 本体価格の1/3 本体価格の1/3 本体価格の1/3
限度 15万円 20万円 15万円

ホームエネルギー
マネジメントシステム(HEMS)

助成 2万円/1台まで
限度
宅配ボックス 助成

【IOT非対応】
助成対象経費の1/2

【IOT対応】
助成対象経費の2/3

【IOT非対応】
助成対象経費の1/2

【IOT対応】
助成対象経費の2/3

【IOT非対応】
助成対象経費の1/2

【IOT対応】
助成対象経費の2/3

限度

【IOT非対応】
5万円

【IOT対応】
15万円

【IOT非対応】
15万円

【IOT対応】
25万円

【IOT非対応】
5万円

【IOT対応】
15万円

高反射率塗装 助成

【屋根等又は壁】
一律5万円/戸

【屋根等及び壁】
一律10万円/戸

助成対象経費の1/4又は施工面積(平方メートル)×1,000円(助成単価)のいずれか小さい額

助成対象経費の1/4又は施工面積(平方メートル)×1,000円(助成単価)のいずれか小さい額

限度 100万円 40万円
断熱改修 助成 助成対象経費の1/4 助成対象経費の1/4 助成対象経費の1/4
限度 20万円 100万円 40万円
LED照明機器 助成 助成対象経費の1/2 助成対象経費の1/2
限度 50万円 50万円

空調設備
機器改修

助成 助成対象経費の1/4
限度 100万円
換気設備機器 助成 助成対象経費の1/4
限度 100万円

省エネ型
小規模燃焼機器等

助成 助成対象経費の1/4
限度 100万円
電気自動車等 助成 CEV補助金*の交付額の1/4 CEV補助金*の交付額の1/4
限度 30万円 30万円

充電設備
(普通・急速)

助成 CEV補助金*の交付額の1/4 CEV補助金*の交付額の1/4
限度 30万円 30万円
高断熱住宅 助成

【断熱性能等級5】
30万円/戸

【断熱性能等級6】
60万円/戸

【断熱性能等級7】
80万円/戸
※ZEHの場合:20万円加算

限度

温室効果ガス
排出量算定削減
クラウドサービス

助成 1年間分の利用料の1/2
限度 15万円

 

・期間

2025年4月1日〜2026年3月31日まで

※申込みは工事着工4週間前まで

 

④江戸川区

 江戸川区の蓄電池設置の補助金制度「気候変動に備え、脱炭素を目指す補助金」では、江戸川区の既存住宅への蓄電池設置に対し、20万円を上限に助成対象経費の1/4を助成しています。

2024年度は募集開始翌日には予定件数に達してしまいましたが、2025年度は募集件数を超える申込みがあった場合は抽選となります。4月12日時点では第1回目の募集回の情報しか公開されていないため、随時、江戸川区のサイトをチェックしておきましょう。

募集回 受付期間 対象工事日 募集件数

第1回

4月28日(月)〜5月8日(木)

6月1日(日)〜7月31日(木) 100件

 

⑤足立区

2024年度も実施されていた足立区の「蓄電池設置補助金」は2025年度も実施されるとのことですが、4月12日時点では受付時期は未定です。補助金額は5万円です。

昨年は申請件数が非常に多く、2024年6月6日に早期受付終了となりました。申請される方は随時、足立区のサイトをチェックしておきましょう。

 

葛飾区・江戸川区・足立区で蓄電池の補助金を利用するときの注意点

蓄電池設置への補助金制度を利用するときには、次のような点にご注意ください。

予算上限に達し次第終了となる補助金もある

江戸川区や足立区の補助金は2024年、受付開始間もなく終了となりました。補助金の助成には予算が組まれているものです。受付期間内であっても、予算に達し次第、終了となるケースもあります。子育てグリーン住宅支援事業やDR家庭用蓄電池事業も、予定より早く受付終了となる可能性があります。

併用できない補助金がある

基本的に、同じ事業者が行っている助成制度の併用はできません。一方、区と国、区と都など、それぞれ支援制度の主体が異なる場合は原則的に併用できます。たとえば「かつしかエコ助成金」は、国による「子育てグリーン住宅支援事業」や都による「家庭における蓄電池導入促進事業」との併用が可能です。

建築前の申請が必要になる場合がある

申請時期は、補助金制度によって異なります。たとえば、足立区の補助金制度は設置後に申請しますが、葛飾区や江戸川区では原則、工事前の申し込みを必須としています。登録事業者などを通して申請を行う補助金もあります。補助金制度を利用する際には、適用期間や適用条件だけでなく、申請のフローも併せて確認しましょう。

 

太陽光発電と蓄電池で高性能な住宅を

現在は、国や自治体が省エネ性能の高い家づくりを後押ししていることから、2025年の蓄電池設置に対する補助金は非常に手厚いものとなっています。ニーズの高さから、早々に受付を終了した制度も見られますが、国や都、区の制度をよく確認し、お得に蓄電池を設置しましょう。

 

セイズは、デザインと機能性を両立させた
高耐震デザイナーズのZEH住宅を造り続けています。

  • 通算8回優秀賞 ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー
  • ZEHビルダー(プランナー評価:最高評価)
  • 8年連続受賞 SW工法の施工棟数全国ナンバーワン
  • 省エネ住宅(BELS評価:最高等級)

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